キャッシュ・フロー計算書(C/F)

簿記・会計の基礎

日付:2025年2月20日

キャッシュ・フロー計算書(C/F)の構成と各項目の意味を解説します。資金の流れを把握し、企業の財務状況を理解するためのポイントを紹介します。

はじめに

企業の財務状況を正しく把握するには、貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)だけでなく、キャッシュ・フロー計算書(C/F) の理解が不可欠です。

キャッシュ・フロー計算書とは?

  • 企業の現金の流れを 3 つの活動別に示した財務諸表
  • 資金繰りの状態や、企業の経営安定性を判断するために重要

本記事では、キャッシュ・フロー計算書の基本構造と見方を解説します。

1. キャッシュ・フロー計算書の 3 つの区分

キャッシュ・フロー計算書は、企業の現金収支を 3 つの活動 に分けて表示します。

(1) 営業活動によるキャッシュ・フロー(Operating Cash Flow, OCF)

企業の本業である営業活動から生じるキャッシュ・フロー。

📌

  • 商品・サービスの売上による現金収入
  • 仕入・人件費・経費などの現金支出
  • 売掛金の回収、買掛金の支払い
  • プラスであれば、企業の本業で利益を生んでいる
  • マイナスなら、本業のキャッシュ不足を示唆

(2) 投資活動によるキャッシュ・フロー(Investing Cash Flow, ICF)

設備投資や資産売却など、企業の成長に関わるキャッシュ・フロー。

📌

  • 設備や機械の購入・売却
  • M&A(企業買収)や有価証券の取得・売却
  • 設備投資が増えるとマイナスになるのは正常
  • 長期的な成長に必要な支出として考える

(3) 財務活動によるキャッシュ・フロー(Financing Cash Flow, FCF)

資金調達や返済に関わるキャッシュ・フロー。

📌

  • 銀行借入、社債発行による資金調達
  • 配当金の支払い、借入金の返済
  • 資金調達が増えればプラス、返済が多ければマイナス
  • 長期的に安定した資金管理が重要

2. キャッシュ・フロー計算書の見方

キャッシュ・フロー計算書は、企業の資金繰りや財務健全性を分析するのに役立ちます。

(1) フリーキャッシュ・フロー(FCF)とは?

フリーキャッシュ・フロー(FCF) = 営業 CF - 投資 CF

  • プラスなら、企業が自由に使える資金がある
  • マイナスなら、外部資金に依存している可能性が高い

(2) 営業 CF と当期純利益の関係

営業 CF が 当期純利益より大きいか小さいか に注目。

📌 理想的なパターン

  • 営業 CF が プラス で安定 → 本業でキャッシュを生み出せている
  • 営業 CF が 当期純利益より大きい → 利益だけでなく現金収支も健全

📌 危険なパターン

  • 営業 CF が マイナス → 本業でキャッシュが不足
  • 営業 CF より当期純利益が大きい → 売掛金の未回収が増えている可能性

3. まとめ

キャッシュ・フロー計算書とは?

  • 企業の現金の流れを 営業・投資・財務の 3 つの活動 に分類

キャッシュ・フローの分析ポイント

  • 営業 CF がプラスかマイナスか(本業の健全性)
  • 投資 CF が大きくマイナスなら、成長のための投資
  • 財務 CF がプラスなら資金調達依存、マイナスなら返済中
  • フリーキャッシュ・フロー(FCF)がプラスなら財務的に余裕がある

キャッシュ・フロー計算書を活用して、企業の財務状態をより深く理解しましょう。