リース取引の会計処理

簿記・会計の基礎

日付:2025年2月20日

リース取引の基本概念と、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの違いを解説します。会計処理の仕訳例も紹介します。

はじめに

企業が設備や車両を購入せずに利用する方法として、リース取引 があります。
リース取引には、ファイナンス・リースオペレーティング・リース の 2 種類があり、それぞれ異なる会計処理が必要です。

この記事で学べること

  • リース取引の基本概念
  • ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの違い
  • 具体的な仕訳例と財務諸表への影響

本記事では、リース取引の特徴と会計処理について詳しく解説します。

1. リース取引とは?

リース取引 とは、企業がリース会社から一定期間、機械や設備を借りて使用する取引を指します。

📌 リース取引のメリット

  • 初期投資を抑えられる
  • 最新設備を導入しやすい
  • 資金繰りの安定化

リース取引には ファイナンス・リースオペレーティング・リース という 2 つの種類があり、それぞれ会計処理が異なります。

2. ファイナンス・リースとは?(資産計上)

ファイナンス・リース は、実質的に 購入と同様の扱い となるリース取引です。

📌 特徴

  • リース資産・リース負債として計上(貸借対照表に反映)
  • リース期間終了後、買取オプションが付くことが多い
  • 資産の所有リスクを借手(リース利用者)が負う

📌 仕訳例(リース契約締結時)

借方(資産):リース資産 500,000円 貸方(負債):リース債務 500,000円

📌 仕訳例(リース料支払い時)

借方(負債):リース債務 100,000円 借方(費用):支払利息 10,000円 貸方(資産):現金 110,000円

ポイント

  • 貸借対照表に資産と負債を計上するため、財務状況に影響を与える
  • 減価償却と支払利息を計上する

購入と比較した際のメリットとは?

ファイナンス・リースは、購入とは異なり 初期の資金負担を抑えられる というメリットがあります。
また、以下のような違いがあります。

  • 資金調達の柔軟性:リースを利用することで、多額の初期投資を避けつつ、必要な設備を導入できる。
  • 税務・会計処理の違い:リース期間中に費用として分割計上できるため、キャッシュフローの管理がしやすい。
  • リスクの分散:一部のリース契約では、保守やメンテナンスがリース会社に含まれる場合もある。
  • 信用力の活用:企業が直接融資を受けるのではなく、リース会社が設備を購入し、それを借りる形になるため、企業の借入枠を温存できる。

このような理由から、多くの企業が ファイナンス・リースを資金調達手段の一つとして活用 しています。

3. オペレーティング・リースとは?(費用計上)

オペレーティング・リース は、単なるレンタル契約 として扱われるリース取引です。

📌 特徴

  • リース資産・負債を計上しない(オフバランス処理)
  • 短期間のリース契約が多い
  • 資産の所有リスクはリース会社が負う

📌 仕訳例(リース料支払い時)

借方(費用):リース料 100,000円 貸方(資産):現金 100,000円

ポイント

  • リース料を毎期の費用として計上するため、財務諸表への影響が少ない
  • リース資産・リース負債を記録しない

4. ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの比較

項目ファイナンス・リースオペレーティング・リース
資産計上あり(リース資産・リース負債)なし(オフバランス)
費用計上減価償却費+支払利息リース料のみ
リース期間終了後買取または継続使用が可能リース会社へ返却
リスク負担借手(利用者)が負担リース会社が負担
適用例高額な設備リース(工場機械など)短期間のレンタカー、コピー機など

5. まとめ

ファイナンス・リースとは?

  • 資産計上し、減価償却と支払利息を計上する
  • 例:工場設備、大型機械リース

オペレーティング・リースとは?

  • リース料を費用として計上(オフバランス処理)
  • 例:レンタカー、オフィス機器リース

リース取引を適切に処理することで、企業の財務管理がスムーズになります。