級数とその収束

数列の基礎
No.581
数学

日付:2025年3月16日

目 次

はじめに

今回は「級数(きゅうすう)」と「収束」について学びます。
無限に続く数列の和(無限和)をどう扱うか?
その疑問に答えるのが級数です。

級数とは?

級数とは、数列の各項をすべて足し合わせた和のことです。

有限の和:
a1+a2+a3++ana_1 + a_2 + a_3 + \dots + a_n

無限の和(無限級数):
a1+a2+a3+=n=1ana_1 + a_2 + a_3 + \dots = \sum_{n=1}^{\infty} a_n

この記号 n=1an\sum_{n=1}^{\infty} a_n は「無限級数」を意味します。

部分和と収束

級数の収束を考えるには「部分和」に注目します。

Sn=a1+a2++anS_n = a_1 + a_2 + \dots + a_n

これを部分和といいます。

無限級数が収束するとは、SnS_nnn \to \infty のときに一定の値 SS に近づくことです:

limnSn=S収束\lim_{n \to \infty} S_n = S \Rightarrow \text{収束}

もし一定の値に近づかなければ、発散です。

等比級数の収束

無限等比級数:a+ar+ar2+ar3+a + ar + ar^2 + ar^3 + \dots

収束条件:r<1|r| < 1

収束する場合、和は:
S=a1rS = \frac{a}{1 - r}

例 1

1+12+14+18+1 + \frac{1}{2} + \frac{1}{4} + \frac{1}{8} + \dots

  • 初項:a=1a = 1
  • 公比:r=12r = \frac{1}{2}

S=1112=2S = \frac{1}{1 - \frac{1}{2}} = 2

この無限級数は 2 に収束します。

発散する級数の例

例 2:調和級数

1+12+13+14+1 + \frac{1}{2} + \frac{1}{3} + \frac{1}{4} + \dots

この級数は無限に続きますが、部分和 SnS_n は無限大に発散します。

発散する級数\Rightarrow \text{発散する級数}

このように、項が小さくなっても和が収束するとは限りません。

収束の目安:項の極限

級数 n=1an\sum_{n=1}^{\infty} a_n が収束するなら、an0a_n \to 0 である必要があります。

limnan0必ず発散\lim_{n \to \infty} a_n \neq 0 \Rightarrow \text{必ず発散}

ただし、an0a_n \to 0 でも収束するとは限らない(調和級数の例など)。

級数の応用

  • 金融:無限期の利息・分割払いの計算
  • 物理学:力学・波動の解析(フーリエ級数など)
  • コンピュータ:数値解析・誤差の見積もり

まとめ

  • 級数は数列の和、無限和が「無限級数」
  • 収束の判定には「部分和」と「項の極限」を利用
  • 無限等比級数は r<1|r| < 1 で収束し S=a1rS = \frac{a}{1-r}
  • 項がゼロに近づいても、和が収束するとは限らない
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