固定資産の減損会計

簿記・会計の基礎

日付:2025年2月20日

固定資産の減損会計の基本概念、減損テストの流れ、会計処理の仕訳例について解説します。

目 次

はじめに

企業が保有する固定資産は、長期間にわたって使用されますが、市場環境の変化や資産価値の低下により、その回収可能価額が帳簿価額を下回る場合 があります。
このような状況では、減損会計 を適用し、適切に資産の価値を評価する必要があります。

この記事で学べること

  • 減損会計の基本概念
  • 減損テストの流れ
  • 減損損失の会計処理の仕訳例

本記事では、固定資産の減損会計 について詳しく解説します。

1. 減損会計とは?

減損会計とは、企業が保有する固定資産の帳簿価額が回収可能価額を上回る場合に、その差額を減損損失として計上する会計処理 です。

📌 減損会計の目的

  • 企業の財務状況を適正に表示する
  • 資産価値の適正な評価を行う
  • 収益力の低下した資産の価値を反映する

2. 減損テストの流れ

企業は、資産の回収可能価額が帳簿価額を下回る可能性がある場合に減損テストを実施 します。

📌 減損テストのステップ

  1. 減損の兆候の判定
    • 事業環境の悪化
    • 使用状況の変化
    • 収益性の低下
  2. 回収可能価額の算定
    • 正味売却価額(市場価格 - 販売コスト)
    • 使用価値(将来キャッシュフローの現在価値)
    • いずれか高い方を回収可能価額とする
  3. 減損損失の認識
    • 帳簿価額 > 回収可能価額 の場合、差額を減損損失として計上

3. 減損損失の仕訳

📌 例:帳簿価額 1,000,000 円、回収可能価額 700,000 円の場合

(借方) 減損損失 300,000円 / (貸方) 固定資産 300,000円
  • 減損損失は損益計算書(P/L)に計上 され、当期の利益が減少します。
  • 固定資産の帳簿価額は、減損後の金額(700,000 円)となる。

4. 減損会計の影響と注意点

📌 減損会計の財務諸表への影響

  • 損益計算書(P/L) → 減損損失が計上され、当期純利益が減少
  • 貸借対照表(B/S) → 固定資産の帳簿価額が減少し、資産額が低下

📌 減損損失の注意点

  • 一度認識した減損損失は 回復しない(日本基準)
  • 減損テストの実施基準は 企業ごとに異なる 可能性がある

5. まとめ

  • 減損会計とは?固定資産の価値が帳簿価額を下回る場合に損失を計上する処理
  • 減損テストの流れ兆候判定 → 回収可能価額の算定 → 減損損失の認識
  • 減損損失の仕訳(借方) 減損損失 / (貸方) 固定資産
  • 財務諸表への影響損益計算書の利益減少、貸借対照表の資産減少

適切な減損会計を実施することで、企業の財務健全性を適正に反映することができます。