キャッシュフロー分析の基礎

財務分析の基礎

日付:2025年3月12日

企業の財務健全性を評価する際、損益計算書(PL)や貸借対照表(BS)だけでなく、キャッシュフロー計算書(CF)の分析が欠かせません。本記事では、キャッシュフローの基本と、その分析方法について解説します。

目 次

1. はじめに

企業の財務健全性を評価する際、損益計算書(PL)や貸借対照表(BS)だけでなく、キャッシュフロー計算書(CF)の分析が欠かせません。
本記事では、キャッシュフローの基本と、その分析方法について解説します。

2. キャッシュフロー計算書の構成

キャッシュフロー計算書は、以下の 3 つの活動に分類されます。

(1) 営業活動によるキャッシュフロー(CFO)

  • 企業の本業(営業活動)から得られる現金の流れ
  • プラスであれば、事業が順調であることを示す
  • 計算例
    営業利益 + 減価償却費 ± 売上債権の増減 ± 仕入債務の増減 = 営業CF

(2) 投資活動によるキャッシュフロー(CFI)

  • 設備投資や有価証券の売買による資金の動き
  • 通常、成長企業ではマイナスになることが多い
  • 主な内容:設備投資支出、投資有価証券の取得・売却

(3) 財務活動によるキャッシュフロー(CFF)

  • 資金調達や返済に関するキャッシュの動き
  • 借入金の増減、配当の支払いなど

3. サンライズ電機株式会社のキャッシュフロー例

架空の企業「サンライズ電機株式会社」のキャッシュフローを例に分析してみます。

キャッシュフロー項目2022 年2023 年
営業 CF+2 億円+2.5 億円
投資 CF-1.5 億円-1.8 億円
財務 CF-0.5 億円-0.3 億円
キャッシュフロー合計+0 億円+0.4 億円

4. キャッシュフロー分析のポイント

(1) 営業 CF の健全性

  • 事業が成長している企業では、営業 CF がプラスで安定していることが重要。
  • サンライズ電機では、営業 CF が増加しており、本業の収益力が向上していることがわかる。

(2) 投資 CF の適正性

  • 投資 CF は通常マイナス(設備投資などの支出)だが、その内容が重要。
  • 成長のための設備投資であれば問題なし。
    過剰投資や不採算事業への投資には注意。
  • サンライズ電機では、投資 CF がマイナス 1.8 億円と増加しているが、設備投資によるものなら妥当と考えられる。

(3) 財務 CF のバランス

  • 借入金の増減や配当支払いが含まれるため、安定した資金調達ができているかを確認。
  • サンライズ電機では財務 CF がマイナス 0.3 億円で、配当や借入金返済が適度に行われていると考えられる。

5. まとめ

キャッシュフロー分析を活用することで、企業の財務健全性や成長性を把握できます。

  • 営業 CF が安定してプラスかを確認
    (事業の収益性)
  • 投資 CF が適正かを評価
    (過剰投資のリスク)
  • 財務 CF のバランスをチェック
    (借入・配当の状況)

財務指標と合わせてキャッシュフローを分析し、企業の健全性を見極めることが重要です。