ファンダメンタル分析の基礎

株式市場の基礎

日付:2025年3月14日

ファンダメンタル分析とは、企業の財務状況や業績、経済環境などを基に株価の適正水準を評価する手法です。投資家は、企業の実態を把握し、長期的な成長が見込めるかどうかを判断します。

目 次

はじめに

前回は株式投資の基本戦略について解説しました。
今回は、企業の価値を評価するための「ファンダメンタル分析」について説明します。

ファンダメンタル分析とは?

ファンダメンタル分析とは、企業の財務状況や業績、経済環境などを基に株価の適正水準を評価する手法です。
投資家は、企業の実態を把握し、長期的な成長が見込めるかどうかを判断します。

ファンダメンタル分析は以下の 3 つの視点から行われます。

  1. マクロ分析(経済全体の動向)
  2. 業界分析(特定の業界の成長性)
  3. 企業分析(個別企業の業績や財務状況)

1. マクロ分析(経済全体の動向)

株価は、個別企業の業績だけでなく、経済全体の状況にも大きく影響を受けます。
以下のような指標を確認し、景気の流れを把握しましょう。

主要な経済指標

  • GDP(国内総生産):経済全体の成長率を示す指標。
  • 失業率:労働市場の健全性を示し、消費者の購買力にも影響を与える。
  • インフレ率(CPI):物価上昇率を測り、企業のコスト増加や購買力の変化を把握。
  • 金利:中央銀行の政策金利が株式市場に与える影響。

例:

  • 金利が低下すると企業の借入コストが下がり、投資が活発化し、株価が上昇しやすくなる。
  • 逆に、インフレ率が高くなると中央銀行が利上げを行い、株価にマイナスの影響を与えることがある。

2. 業界分析(特定の業界の成長性)

次に、投資対象とする企業が属する業界の成長性や競争環境を分析します。

業界分析のポイント

  • 市場規模の成長性:業界全体が成長しているか?
  • 競争環境:競争が激しい業界か?寡占市場か?
  • 規制の影響:政府の規制が業界にどのような影響を与えるか?

例:

  • IT 業界は新技術の登場により成長が期待できるが、規制の変化による影響も受けやすい。
  • エネルギー業界は原油価格の変動に大きく影響を受ける。

3. 企業分析(個別企業の業績や財務状況)

企業の財務状況を分析することで、成長の可能性や財務の健全性を評価できます。

主要な財務指標

(1) 収益性を測る指標

  • 売上高:企業の事業規模を示す。
  • 営業利益率(営業利益 ÷ 売上高):本業の収益性を示す。
  • ROE(自己資本利益率)(純利益 ÷ 自己資本):
    株主資本に対する収益性。
  • ROA(総資産利益率)(純利益 ÷ 総資産):
    企業全体の資産を活用してどれだけ利益を生み出しているか。

(2) 割安度を測る指標

  • PER(株価収益率)(株価 ÷ 1 株あたり利益):低いほど割安。
  • PBR(株価純資産倍率)(株価 ÷ 1 株あたり純資産):1 倍未満なら割安の可能性。

(3) 財務の健全性を測る指標

  • 自己資本比率(自己資本 ÷ 総資産):40%以上が望ましい。
  • 流動比率(流動資産 ÷ 流動負債):100%以上が望ましい。
  • 負債比率(総負債 ÷ 自己資本):低いほどリスクが少ない。

4. ファンダメンタル分析の実践例

例:A 社の分析

  • 売上高:前年対比+10%成長
  • 営業利益率:15%(業界平均 10%より高い)
  • ROE:12%(業界平均より優秀)
  • PER:18 倍(同業他社と比較して割安)
  • 自己資本比率:50%(財務の安定性が高い)

このように、複数の指標を組み合わせて企業の実力を判断します。

まとめ

ファンダメンタル分析は、企業の実態を把握し、長期的な成長の可能性を見極めるために重要です。
経済全体の動向、業界の成長性、企業の財務指標を総合的に分析することで、より適切な投資判断ができるようになります。

次回は「テクニカル分析の基礎」について解説します。