固定費の重み ― 家賃・人件費・光熱費

個人経営カフェの収益分析

日付:2025年3月22日

カフェ経営における固定費の内訳と影響を解説。家賃・人件費などが利益に与える重みを数値で示し、Python を用いたシミュレーション例も紹介します。

目 次

はじめに

カフェ経営において、毎月必ず発生する「固定費」は、利益に大きな影響を与えます。
固定費が高すぎると、いくら売上があってもなかなか利益が出ませんし、逆に固定費を抑えられれば、少ない売上でも黒字化が可能です。

今回は、カフェ経営における主要な固定費を分解し、どの程度の負担になるのか、そしてシミュレーションによってその影響を具体的に見ていきましょう。

固定費の主な内訳

カフェの固定費には、以下のような項目があります:

  • 家賃:店舗の賃貸料
  • 人件費:オーナー自身の給与、アルバイトの給料など
  • 水道光熱費:電気・水道・ガス代
  • 通信費・その他:Wi-Fi、電話、会計ソフト、保険料など

仮に、以下のような設定でシミュレーションしてみます:

  • 家賃:10 万円/月
  • 人件費:15 万円/月(オーナー含む)
  • 水道光熱費:3 万円/月
  • その他:2 万円/月

この場合、

合計固定費 = 10万円 + 15万円 + 3万円 + 2万円 = 30万円/月

この 30 万円は、売上に関係なく必ず発生するため、月間売上が 30 万円未満だと赤字になります。

固定費が売上に与える影響

固定費が高くなると、「損益分岐点」が上がり、黒字になるために必要な売上額も増えます。
たとえば、固定費が 5 万円増えて 35 万円になった場合を考えてみましょう。

  • 粗利益(1 杯あたり):400 円(前回の例より)
  • 必要販売数 = 35 万円 ÷ 400 円 = 875 杯/月

固定費が 30 万円の場合は 750 杯でよかったのに、固定費が 5 万円増えただけで、月 125 杯も多く売らないと黒字にならないのです。

Python で簡易シミュレーション(概略)

以下のような Python コードを使えば、固定費の変化に応じた必要販売数を計算できます:

PYTHON
fixed_cost = 350000 # 固定費35万円 profit_per_cup = 400 # 1杯あたり粗利益 required_cups = fixed_cost / profit_per_cup print(f"必要販売数: {required_cups:.0f}杯/月")

出力結果

必要販売数: 875杯/月

このように数値を変えて試すことで、「自分の店舗なら何杯売れば黒字か?」が直感的にわかります。

まとめ

固定費は、売上や利益に直結する重要な要素です。
開業前の計画段階でも、固定費がどれくらいかかるかを正確に把握し、どのくらい売上が必要かを試算しておくことが成功のカギとなります。

次回は、売上と連動する「変動費」について詳しく見ていき、より精密な利益計算を行います。