周期表に見られる性質の周期性

周期表から学ぶ化学の基礎
No.778
化学

日付:2025年4月9日

周期表は性質の地図。原子半径・電気陰性度・イオン化エネルギーなど、元素の性質が周期的に変化するルールをやさしく整理します。

目 次

はじめに

周期表は、単なる元素の一覧ではなく、性質が規則的に変化する「パターンの地図」です。
この回では、原子の性質が周期表上でどのように変化していくか(周期性)を、いくつかの代表的な性質を通して解説します。
周期表の「縦」と「横」に注目することで、未知の元素の性質さえ予測できるようになります。

周期性とは?

**周期性(periodicity)**とは、原子番号が増えるにつれて、一定の間隔で原子の性質が繰り返される現象です。

この理由は、電子配置のパターンが繰り返されるためです。
最外殻電子の数が同じになると、似た性質を示すようになります。

主な周期的性質

ここでは、周期表上で特に注目すべき性質を 3 つ紹介します。

1. 原子半径(atomic radius)

  • 同じ周期(横方向)では:左から右へ行くほど小さくなる
    • 原子番号が増える → 陽子の数が増える → 電子がより強く引きつけられる
  • 同じ族(縦方向)では:上から下へ行くほど大きくなる
    • 電子殻の数が増えるため

2. 電気陰性度(electronegativity)

  • 他の原子と結合したときに電子を引き寄せる力の強さ
  • 横方向:左から右へ行くほど大きくなる
  • 縦方向:上から下へ行くほど小さくなる

最も電気陰性度が高いのはフッ素(F)で、逆にアルカリ金属などは非常に低い。

3. イオン化エネルギー(ionization energy)

  • 原子から電子を 1 個取り除くのに必要なエネルギー
  • 横方向:左から右へ行くほど大きくなる
  • 縦方向:上から下へ行くほど小さくなる

陽子数が増えると電子が強く引き寄せられ、取り除くのに多くのエネルギーが必要になる。

周期性を活用する意味

周期表の周期性を理解することで、次のような利点があります:

  • 未知の元素の性質を予測できる
  • 化学反応の傾向を読み取れる
  • 同族元素の共通点・相違点が明確になる

たとえば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)はいずれも 1 価の陽イオンになりやすく、水と激しく反応する性質をもっています。

覚えておきたい傾向まとめ

性質横方向の変化(左 → 右)縦方向の変化(上 → 下)
原子半径小さくなる大きくなる
電気陰性度大きくなる小さくなる
イオン化エネルギー大きくなる小さくなる

まとめ

  • 周期表は、電子配置の繰り返しに基づいて性質が周期的に変化する構造をもっている
  • 原子半径、電気陰性度、イオン化エネルギーなどは、明確な傾向をもって変化する
  • 周期性を読み解けば、元素の性質を体系的に理解できる

次回は、安定性の象徴である「希ガス」と、その化学的な特徴について掘り下げていきます。

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