酸と塩基の性質と中和反応

周期表から学ぶ化学の基礎
No.782
化学

日付:2025年4月9日

酸はH⁺を出し、塩基はOH⁻を出す。中和反応とpHの仕組みを通じて、酸性・塩基性の本質をわかりやすく解説。指示薬や測定法にも触れます。

目 次

はじめに

化学において「酸」と「塩基」は非常に基本的かつ重要な概念です。
レモンの酸っぱさや石けんのヌルヌル感も、酸や塩基の性質によるものです。
今回は、酸と塩基の定義・性質・中和反応の仕組み、そして pH という指標について解説します。

酸と塩基の定義

アレーニウスの定義(高校化学での基本)

  • :水に溶けて水素イオン(H⁺)を出す物質
  • 塩基:水に溶けて水酸化物イオン(OH⁻)を出す物質

例:

  • 塩酸(HCl)→ H⁺ + Cl⁻
  • 水酸化ナトリウム(NaOH)→ Na⁺ + OH⁻

ブレンステッド・ローリーの定義(やや発展)

  • :H⁺(プロトン)を与える物質
  • 塩基:H⁺(プロトン)を受け取る物質

この定義では、水以外の溶媒中での反応や、イオンのやりとりも説明できます。

酸と塩基の性質

分類主な性質
酸っぱい、金属と反応して水素を発生、pH が 7 未満レモン汁、酢、胃酸(HCl)
塩基苦味がある、ヌルヌルする、脂肪を溶かす、pH が 7 より大きい石けん、重曹、アンモニア水

中和反応とは?

酸と塩基が反応して、水と塩(えん)をつくる反応を中和反応といいます。

例:
HCl+NaOHNaCl+H2O\text{HCl} + \text{NaOH} \rightarrow \text{NaCl} + \text{H}_2\text{O}

この反応では、H⁺ と OH⁻ が結びついて水(H₂O)ができ、残った Na⁺ と Cl⁻ が塩(NaCl)となります。

pH とは?

pH(ピーエイチ)は、水溶液中の H⁺ の濃度を示す尺度で、次のように定義されます:

pH=log10[H+]\text{pH} = -\log_{10} [\text{H}^+]

  • pH 7:中性(純水)
  • pH < 7:酸性(H⁺ が多い)
  • pH > 7:塩基性(OH⁻ が多い)

pH は 0〜14 の範囲で表されることが多く、1 単位違うだけで H⁺ 濃度は 10 倍違うという「対数スケール」であることも重要です。

指示薬と pH の測定

  • リトマス紙(青 → 赤:酸性、赤 → 青:塩基性)
  • BTB 溶液、フェノールフタレインなども色の変化で pH の目安がわかる
  • 精密には pH メーターを使用する

まとめ

  • 酸は H⁺ を出し、塩基は OH⁻ を出す(あるいは受け取る)
  • 酸と塩基が反応すると中和が起こり、水と塩ができる
  • pH は H⁺ の濃度を示す指数スケールで、0〜14 で酸性・中性・塩基性を判断する

次回は、化学結合と物質の状態(固体・液体・気体)との関係について解説します。

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