化学反応式の書き方と意味

周期表から学ぶ化学の基礎
No.780
化学

日付:2025年4月9日

化学反応式は、反応の前後で物質がどう変化したかを表す科学の言語。基本の構成・係数調整・質量保存の意味をわかりやすく解説します。

目 次

はじめに

化学では、反応を「化学反応式」という記号の組み合わせで表現します。これは、単なる暗号ではなく、反応の前後で何がどのように変化したかを正確に示す「科学の言語」です。

本記事では、化学反応式の基本的な構成と書き方、そしてその意味について丁寧に解説します。

化学反応式とは?

化学反応式とは、化学反応の前後における物質の変化を記号で表現したものです。

たとえば、
H2+O2H2O\text{H}_2 + \text{O}_2 \rightarrow \text{H}_2\text{O}
という式は「水素と酸素が反応して水ができる」ことを表しています。

化学反応式の構成要素

  1. 反応物(左辺):反応に使われる物質
  2. 生成物(右辺):反応の結果できる物質
  3. 矢印(→):変化の向きを示す(可逆反応では \rightleftharpoons を使う)
  4. 係数:原子数・分子数をそろえるための数字

例:水の生成反応

反応式:
2H2+O22H2O2\text{H}_2 + \text{O}_2 \rightarrow 2\text{H}_2\text{O}

この式の意味:

  • 水素分子 2 つと酸素分子 1 つが反応して、水分子 2 つができる
  • 左右の原子の数が等しくなっている(H が 4 個、O が 2 個)

この「数をそろえる」ことを 化学反応式の係数調整(または「式のバランスをとる」) といいます。

なぜ係数をそろえる必要があるのか?

質量保存の法則によって、化学反応前後で原子の総数(つまり質量)は変わりません。

例:

  • CH4+2O2CO2+2H2O\text{CH}_4 + 2\text{O}_2 \rightarrow \text{CO}_2 + 2\text{H}_2\text{O}
    • 炭素原子:1 → 1
    • 水素原子:4 → 4
    • 酸素原子:4 → 4

これにより、反応が「本当に起こるかどうか」「どれだけ物質が必要か」などを定量的に考えることができます。

状態記号の使い方(必要に応じて)

化学反応式では、物質の状態を示す記号を使うことがあります:

  • (s):固体(solid)
  • (l):液体(liquid)
  • (g):気体(gas)
  • (aq):水溶液中(aqueous)

例:NaCl(aq)+AgNO3(aq)AgCl(s)+NaNO3(aq)\text{NaCl} (aq) + \text{AgNO}_3 (aq) \rightarrow \text{AgCl} (s) + \text{NaNO}_3 (aq)

まとめ

  • 化学反応式は、反応前後の物質の変化を記号で表したもの
  • 反応物・生成物・係数・矢印などで構成される
  • 係数調整は、質量保存の法則に基づいて必ず行う必要がある

次回は、反応量やモルの概念など、化学量論の基本について解説します。

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